布団の上で寝転んで執筆
こんな面白い人がいたとは。
私が手に取ったのは明治生まれの数学者・岡潔のエッセイを現代の数学者、森田真生が編集したアンソロジーだが、岡潔入門として適していたようだ。
冒頭には自宅でくつろぐ岡潔の写真などもあるが、敷布団の上に寝転んで、周りには原稿用紙だの本だのが散らかっていて、布団にはインクのシミのようなものも付いていて汚い。
でも執筆のおとものコーヒーにはソーサーとスプーンまで添えられていて優雅だ。
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世間さまとは付き合いがない
奥様から見た岡潔像も鮮やかだ。
文化勲章授賞式のためいきなり世間の注目を浴びてせわしない一時のことが綴られている。
外出は長靴をこのんで穿く。電話は引かない。ネクタイも嫌う。
でも不愛想な偏屈ものなのではなくて、次々押し寄せる記者などにいちいち応対して、生い立ち、研究のいきさつなど何度でも繰り返し語る。
断れなくてそうしているのではなく、文化勲章をもらうからには追いかけまわされるのは有名税として割り切っている。
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もうドラマになっていた
それで私が知らなかっただけで、岡潔のエピソードについては2018年にすでにドラマになっていました。
一周二周回ってから知る、私ってこんなことばっかりですが、ドラマはもう出来上がっていていつでも見られるのだから効率が良い。
岡潔はフランス留学をしたり、中谷宇吉の弟の考古学者と親交があったり、戦後は大学を辞めて農業をしながら独自に研究を進めたりと、続きを知りたくなるドラマチックな人生ですもの、見応えたっぷりなことでしょう。