なんでもない今読めてよかった
今、爆笑問題・太田のエッセイやら小説やらといった本を読んでいるところですが、その流れでこの本に辿り着きました。
今の自分は差し迫った介護や葬儀の問題がないので、距離を置いて考えることができます。
太田光が父母を送った経験から介護に関するインタビューに答えているのが冒頭にありますがそれはほんの一部で、NPOとなりのかいごの代表川内潤と日経ビジネス編集部による、介護の新しい考え方を提示する本です。
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親より自分が倒れないこと
介護は、頑張りすぎちゃうのが問題のようだ。
自分がやらねばと、介護の資格まで取る人もいるらしい。
親のためと思ってしているつもりが、孝行息子と思われたいという自分の満足が勝っている。
介護は自分が直接するのではなく、プロに頼む、自分の役割はサービスのマネジメント、自分は介護を経営するというスタンスを取ることがポイントだ。
介護は医療や育児と違って回復・成長がない。
そこをシビアに捉え、親戚や世間という関係ない人はまる無視でよい。
今回、「包括」というワードを知りました。
「親の居住地(何丁目まで) _包括」で検索したところでまずは相談するということを覚えておきたい。
早い段階で手を打つことで選べる手立ても多くなる。
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密告して楽になろう
この本は、介護を経験した著名人や医療などの専門知識を持つ人と、「親不孝介護」を掲げる川内氏とのインタビューで編まれているが、中でひとり、編集者の知り合いで匿名、顔出しお断りのM女史という人がいて、この方とのインタビューがまた面白かった。
M女史は名門女子校出身と自ら言ってはばからず、仕事でなにやら世界中を飛び回っているらしい人だが、夫とその母親との美しすぎる関係を訝しむ。
育ちの良い夫は母親にこまめに電話してやさしい言葉をかける。母親の方は、息子が結婚する時にM女史に「この子はこれまで挫折なく生きてきたのでこれからはあなたがよろしくね」とのたまう。
それに対してM女史は「いえいえそんなことはできません。なんなら私と結婚したことは挫折です。」と答えて痛快である。
前著を読んでの感想も、恵まれた環境だったとかタイミングが良かったとかいうことを「介護偏差値が高い人だからうまくいった」と言う言い方をする。
また包括にはそんなに頼りになる人材が配置されているのか?介護の現場は薄給のイメージがあるが、それで満足いくサービスを受けられるのか?などなど遠慮なく問うていく。
そのM女史すら納得させたのは「密告して良い」と言う言葉。
妻から見た夫とその親とのやりすぎている介護関係とか、親の前では言いづらい、子として介護している自分の辛さとか、そうした気持ちを吐き出して良いということ。そうした場があるということ。
親を大事に思う人であればなおさら、親が嫌いになる前にプロを頼るのは大事であると思った。