「東京の生活史」を読んだ

2025/07/18

読書

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ごった煮で吐き気すらする本

この「東京の生活史」は、群ようこが「こんなふうに書いています」という本の中でちらっと紹介していて知った本です。
手元に来たら厚さが10cmくらいありそうな、辞書みたいな本で(実際に厚みを計ってみると6cmくらいしかないのですが)、ページ数は1200を超えていて、なかなか読み終わりません。
この中に150人くらいのインタビューが載っているのですが、その人の年齢、性別、国籍、職業などは読んでいくうちにわかってくるだけで、氏名すら、ごく僅かの人を除き明記されていません。
逆に聞き手は氏名もしくはペンネームが必ず記載されています。
聞き手はインタビューの仕方について一定の研修を経ているらしく、聞き手の喋る部分は少なくて、読んでいてどちらが聞き手か話し手かがわかりにくいことはあまり多くはなかったです。
聞き手が話し手とどういった関係があるのかもある種の謎解きのひとつです。

真似したい人がいない

他人のライフヒストリーを読む醍醐味って、自分の人生に何らかの参考になる部分を見つけるという部分もあると思うのですが、この本に出てくる人はあまりに多彩で、誰かこの人が気になる、という人が浮かび上がってきません。
みんなどこかが出っ張っていて他が引っ込んでいる感じ。
誰もが納得するような素晴らしい人生だけじゃない。
予定調和を壊そうとする編集方針なのかなと感じました。

全部読まなくても良いのに

本の半分くらい読んだ頃もう良いかなと思いましたが、ちょうど「人生折り返して、もう働かなくていいかな」とかいう人のお話あたりで、もうちょっと読んでみようかとまた読み出し、なんだかんだと最後まで読んでみました。
でも仕事をしないで生きることについて、あんまり参考になるお話は無かったな(つまり自分はそれを期待していたんだな)。

ひとり10ページくらい、結構長い語りなのですが、人に歴史ありで語り尽くせぬエピソードは満載で、多くのインタビューが突然ブチッと切れる感じです。
戦後の引き揚げの話もいくつかありますが疫病自粛の頃の話など割と最近の話題も入っています。
この本に出てくるエピソードを元に膨らませていけばいくらでも創作できそうで、群ようこが物書き指南としてこの本を挙げていてさすがだと思いました。

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お部屋せまめで荷物少なめ。 それをピカピカにして暮らす。 小さな気づきを大切に、自分の心が軽くなる方向へ、少しずつ確実に前進しています。

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